UNITED NUDE POP-UP STORE
at Shibuya Scramble Square

Title: UNITED NUDE POP-UP STORE
at Shibuya Scramble Square
Client: UNITED NUDE JAPAN
Art director+Architect:
Logram inc. + useful architects
Usage: popup store
Location: 2-24-12
Shibuya, Shibuya-ku, Tokyo
Construction : Studio inc.
Completion: April, 2025
Photo : Kenta Hasegawa
Photo9,16,17,20 : KEIGO ANAN
UNITED NUDE のシューズは、梁やブリッジをミクロ化し、色面をグリッド状に切り分けることで、履く道具を越えた「身にまとう小さな建築」へと昇華してきた。本プロジェクトでは、靴の"マイクロ・ストラクチャー"を1:1の都市模型として会場全体に展開した。素材選択の軸となったのは、「軽さ」「反射性」「中立色」という三つの属性である。軽量鉄骨(LGS)と発泡ウレタンフォームは層状に重ねられ等ピッチで反復し、靴を重力から切り離し、まるで都市の高架や橋脚が宙に浮かぶかのような視覚的リズムを生み出す。鏡面ステンレス柱は周囲の光と色を断片化し、コラージュ的な風景を生み出す。背景のアルミシートは表面に揺らぎを帯び、光や色をぼんやりと反射しながら動的な立体ポスターとして機能する。
ブルー、パープル、ホワイト、シルバー——什器に設定されたキーカラーは、色味そのものよりもマテリアルの質感を介して相互に結び付けられ、靴と空間をシームレスに横断するマテリアル・ループを形成する。実際、UNITED NUDE のシューズにも鏡面シルバーのパーツや発泡ウレタンのソールが採用されており、プロダクトと展示什器のあいだに同質の循環が生まれる仕掛けだ。 そこへ赤い日用品(画鋲・ロープ・結束バンド)を、固定や締め付けという本来の機能を停止させ、わずかにズラした状態で並べることで、点や線として空間に浮かび上がらせている。この矛盾は無機質で抽象的な色彩世界と「留める・結ぶ・繋げる」という日用品の記憶を橋渡しする役割を果たす。画鋲やロープの機能停止による「違和感」に気づくと、見る人の思考は変化する。色彩の広がりと日用品の存在感のあいだを視線が行き来し、既視感と新奇感が同居するようになる。この視線の動き自体が空間に問いを生む。
本展示では「機能を明示的に表現するデザイン」とは対照的に、計算された機能の表現をあえて排している。機能性より存在感を優先し、素材本来の質感や色彩が生み出す視覚的効果を前面に出す手法を選んだ。装飾は単なる余剰ではなく、新たな〈意味〉を生み出す別の仕組みである。 来場者は見慣れた既視感とわずかなズレが触発する新奇感を同時に体験する。そして「実用性が価値を決める」という考え方をいったんリセットして、自身の身体と視線で価値を再解釈することになる。機能を停止してこそ装飾は語り、視覚の中で再構築する——これこそが「浮遊する機能」の真意である。


















